半導体製造工場の新設・増設や物流の2024年問題にともなって、地方圏の物流不動産マーケットが注目され始めた。市場規模はまだ小さいが、今後の成長が期待できる。
※ 本レポートは2024年3月に発表されたものです。
地方都市圏の物流施設が注目されている。その背景には、半導体工場の国内回帰と物流の2024年問題*がある。半導体産業の主要な生産拠点はもともと土地や水資源の豊富な地方都市に所在しているが、パンデミックを契機に工場新設や生産設備の増強など過去にないほどの大規模な投資が短期間に相次ぐ。このことは、これまで消費財中心だった物流需要に、製造業系の需要が加わることを意味する。また、 2024年問題では、物流網や物流拠点の整備が相対的に遅れていた首都圏以外の都市において、新しいタイプの物流施設に対する需要がクローズアップされることとなった。首都圏では需給が緩んだ影響で賃料が上昇しにくい環境にあるが、先進的な物流施設が不足している地方都市圏では賃料の上昇傾向が鮮明だ。主要な地方都市圏の物流マーケットの現状と今後の見通しをまとめた。
*トラックドライバーの時間外労働規制が2024年4月から厳格化される
地方中核都市圏のポテンシャル
まず、大都市圏(首都圏、近畿圏、中部圏、福岡圏)以外の県について経済規模を整理するために、都道府県別の人口と県内総生産を上位から順に並べた(Figure 1, 2)。人口が上位15位に含まれる都道府県のうち、大都市圏以外は北海道、静岡県、広島県、宮城県、新潟県の5道県である。また県内総生産では、北海道、静岡県、広島県、宮城県、群馬県の5道県が上位15位に含まれる。これらの道県のうち北海道、宮城県、広島県は、ロジック半導体の量産を目指す大型投資が明らかになった。それぞれに札幌市や仙台市、広島市といった地方中核都市を持ち、一定の交通インフラが整備され、産業の集積がみられる。
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- 地方中核都市圏のポテンシャル
- 半導体産業の国内生産増強
- 2024年問題 地方都市で物流拠点の立地や増強を促進
- 札幌圏、仙台圏、岡山圏、広島圏の物流不動産マーケット
作成:2024年3月